澤本玲子先生が亡くなった。
私は大学3年の時、玲子先生のゼミを取った。
写真について、クラスでディスカッションするという授業内容に惹かれて。
「私はこういうものを表現したい」
「でもあなたの写真から、それは伝わりにくい」
授業は毎回緊張したけれど、とても有意義だった。
4月に家を引越したとき、課題で提出した作品がいくつか見つかった。
この作品を作った時、どんな気持ちでいたか
暗室でもくもくとプリントしていた記憶がぱっと甦る。
私はこの時、写真の難しさも、楽しさも、奥深さも知った。
玲子先生はどんな時も自分を保ち、少女のようなかわいらしい気持ちを
持ち続けている人だった。
愛のある厳しさで、接してくれた。
祭壇には真っ白い百合の花がいっぱいに咲いていた。
私は、玲子先生が張りのあるピンとした声で
ぴしゃりと本質をついた意見を述べる場面を
何度も頭の中に思い浮かべた。
どうかゆっくりお休みください。